食い詰め作家のノベルジャム参戦記!

 ノベルジャムというイベントに参加してきました。

 以下はそのレポであります。長くてすみません。

開催の発表を受けて(16年11月29日)


 いつものGoogle+の通知でこのイベントのことを発表とともに知る。

 おおー、日本独立作家同盟の次のイベントはこれか。


ノベルジャムとは!参考> NovelJam(ノベルジャム)|NPO法人日本独立作家同盟 on Strikingly

 私なりの理解は『作家と編集者でチームを作り、限られた時間で小説を書き、電子書籍で販売するところまで一気にやるイベント。しかもその小説を審査員が小説作品として審査し優秀作品を表彰する』かな。正確な定義は上の参考のリンクを各自確認のこと。

 なるほど、同盟もいろいろ考えるなあ。小説版・電子書籍版ハッカソンみたいな感じかな。

 でも、参加費8000円!! うっ、高くね?

 いや、おかしい。まてまて。おかしいぞ。おかしいぞ。

 だいたいこれ、開催中に食事何食出るんだ? その代金込みだぞ。

 開催地の市ヶ谷の場所代、提供される食事代、事務経費……うわっ、げげっ!!

 なんという破格の参加費設定!

 これ、ほぼ赤字覚悟じゃないか! なんというチャレンジングな!

 日本初のイベントとはいえ、すばらしくチャレンジング!

 これは是非参加してみたいぞっ!

 とはいえそれこの額でも、私に出せるだろうか? うち、さらにビンボーだぞ? 去年のビッグサイトでの鉄道模型展示以来、緊縮財政だぞ? あれ、地味にお金かかったもんね。

 それに「応募者多数の場合は選考があります」とのこと。うーむ、出られないかもなあ。

 それでもとりあえずエントリーすることにしました。当然著者としての参加希望で。12月13日送信。

『初心に返って頑張ります!』と添えて。

 ついでに当日の宿も取っちゃえ。

 もし当選したらベースキャンプに出来るし、だめだったら今話題の楽しそうな宿だから別の理由で泊まっても良い。それにまだキャンセルも出来るし。なんてことを思ってました。正直。



当落発表(17年1月10日)


 そして正月過ぎにメール着信。

 えええ! マジスカ?

 まさかの参加決定。

 当然同時に会費払い込み義務が発生。

 払い込みながら、『かくなるうえはタダでは帰らんぞ』と思い始める。

 しかし、お題が「破」なの? 即興制作なのにこんな早くお題公開してて、いいの?

 ふつうシークレットにしない? あれれ?



準備開始(16年12月17日から)

 当落の前から実は準備しつつありました。出て何にも出来ないのはいやだったから。

 まず即興制作を実際やってみよう。さっそく特訓開始なのである。なんだこのスポ根みたいなストーリー。でもホントにやった。

 まずネット上の小説コンペ『にごたん』参戦。これはお題が提示されてから2.5時間で作品を書き上げる、まさに短編執筆スプリントレース。終わったあとに感想戦という合評があったりして面白い。

 1回目。「エビコー鉄研『にごたん』参戦記」|読み書きしよう! 12月17日

 うちの主力シリーズ作品『鉄研でいず』の設定を応用した、女の子わいわいキャッキャ劇。

 慣れてるのでサクサク書けたが、出来は自分として不満。

 感想戦ではキビシイ意見はなかったけど、自分的にはコンペにシリーズものをそのままぶっ込むのはデメリット多しの教訓を得た。

 2回目。金の奴隷(米田淳一) - カクヨム 1月22日

 北急電鉄世界を応用した金融ドラマ。

 お題が書きやすかった。アバンタイトルとのお題だったので、鉄研でいずでやった手法でやろうと思った。北急電鉄世界の設定、半沢直樹、そしてアバンタイトルがカッコいい映画・金融腐食列島と好きなもん総動員。その上時事ネタ「金(カネ)の奴隷」まで投入。まさに総力戦。

 サクサク書いてまさかの超重厚ドラマに。5600字一気書き。

 なかなか感想戦でも好評をいただいて、もうすっかりいい湯加減のワタクシである。

 シリーズものをそのままぶっ込むのは危険だが、その世界のエッセンスを一般化すればホームゲームでの戦いに出来る。サクサク描けて有利。この方向はいける!

 しかも一太郎2016を校正支援に使うことで時間節約が出来る。

 これは勝算ありか?

 とはいえ、このころから、好きな鉄道模型いじりをほとんど封印。

 他の作業もあって模型出来ない。ああ、模型がやりたい……とつぶやきながらも原稿打ち。

 特訓期間としてがまん。模型やるなら少しでも勉強。

 こうやってアップをはじめてました。

事前準備


 特訓のあとは準備。

 でもやることがない。そもそも準備作業やっていいのかもよくわかんないし。

 しかたない。ネタだけは少し仕込むかな。

 テーマは「」か……処女喪失の「破瓜」なんかどうだろう? まず1つめの破。

 でもなー、普通の処女喪失じゃなあ。

 ここにずしっと重みが欲しい。

 処女好き? 重み? そうだ明治の元勲伊藤博文!(謎の連想)

 でもこれは確かに重いぞ! 元勲は重いっ! 重厚なドラマになりそう!

 たしか日清戦争での広島大本営では女遊びしなかったのは明治天皇のみだったという。

 ひえええ、明治の元勲、みんなすーけべー!

 じゃ、それとなにかあわせられるものはないかな。

 あれ、廣島物産陳列館?

 これって今の原爆ドームの元の建物じゃん! 原爆ドームになる前は産業奨励館だってのは知ってたけど、その前は物産陳列館だったのか。

 これ、被爆前の様子の復元とか分析がすすんでる!!

 ええっ、ここの三階に喫茶室あったの?

 というかすごくオシャレな観光スポットだった? たしかにアールデコで大正ロマンだ!

 ここで思う。

 この喫茶室があった頃に何かあっても、ほぼ異世界ものに出来るぞ。

 なにしろ記録も少ない。ということは想像力で好き放題出来るっ!(ヒドイッ!)

 よし、私の話はここが健在だった昔に起きた事件にしよう。広島の悲劇・破壊で破2つ目確保

 そのとき、偶然そのちょっと前にみたSNSで、『女性が公衆の中でビンタするってことあります? ドラマだとあるけど、あれって不自然じゃない?』という疑問の話題。

 これが案外盛り上がる。私ビンタしちゃったことあるー、てへ☆という武勇伝の女性、見てビビったという男性が続々と出て、そのコメントで賑わう。

 フルスイングのビンタ、スナップの利いたビンタ。ビンタもいろいろあるよね、って。

 これだけで語れるよね。じゃ、これを使おう。和んだ空気破れるし。はい破3つめ

 この物産陳列館、日本でバウムクーヘンが初めて売られたとこなのか。大正8年。喫茶室でカットされたバウムクーヘン。おお、絵になる。これにビンタ。要素が揃ってきた。

 バウムクーヘンがはじめて売られたのが1919年。よし、舞台とする時間をここに定めます。

 でも、誰が誰をビンタする? 伊藤博文に処女あげた芸子さん(架空)はバウムクーヘンのときはイマイチな年齢だ。絵的に痛烈さがない。

 じゃ、その娘にしよう。うんうん。年齢的に若い子に出来そう。でも名前は?

 まあいいや、うちのネコの名前、珠子にしちゃおう。

 でもなー、男を珠子がビンタするのは凡庸だなー。それじゃ普通の喧嘩だしなー。

 ググると、林芙美子、森光子の超ロングラン劇で有名な『放浪記』の原作者が1919年当時尾道にいる。年齢的にもバウムクーヘンの年に女学生。

 才気煥発の文筆大好き女学生?

 こ、これは! なかなかの『可燃物』では?

 よし、珠子と林芙美子で、喫茶室でビンタ合戦させよう! キャットファイト、怖いもんねえ。

 でもキャットファイト書くだけだとただ悲惨だしなー。可愛い子たちが喧嘩してるの、すごく心痛むし。ここはいい別の人物欲しいなあ。

 それに結構偏差値高いはずの珠子と芙美子(当時フミ子)がタダの喧嘩するわけがない。してもつまんないし。

 じゃ、文学で喧嘩? それで行くか。論破で破の4個目確保

 でも、二人だけで文学で喧嘩だとドラマにならんぞ。つまらん頭でっかちの文士劇になる。ダサい。

 あ、ここでビビる役を出そう。

 誰がいいかなあ。

 ああ、いつもチャットしてる電子雑誌『SFオルタニア』のレギュラー執筆メンバーみたいなのがいて、リアクションしてるようにすれば楽に書けるし自然に行くだろうなあ。


 でも私含めて無名の人間が1919年、大正8年に転生してもつまらん。というか異世界転生なのかこの話。

 だけど転生ネタは使いたいなー。

 そのときググって発見。おお、雑誌「改造」がこの年創刊されてる! あとでアインシュタイン呼んだり、ヘビーな社会批評とか文学論争乗せたりした雑誌らしい。ほー、ちょっと前の「サイゾー」を重量級にした感じかな。

 よし、『SFオルタニア』のメンバーを改造のメンバーに転生させちまえ!

 じゃ、誰が誰に転生するといいかな。

 よし、スプレッドシート(表計算)に時系列を整理だ。『道真異聞』で菅原道真書いたときにやった手法。慣れてる。


「スパアン」執筆用準備資料(米田淳一作成)ーGoogleスプレッドシート


 「改造」は芥川と谷崎潤一郎の文学論争が目玉コンテンツか。この二人は出そう。若い芥川は……うん、隙間社さんにしよう。まじめで緻密なとこは芥川に転生させられそう。で、『改造』だしてた改造社主・編集長山本は? 波野さんだな。やり手編集でイメージピッタリ。じゃ、谷崎潤一郎は? うーん、楽して不肖ワタクシにしちゃおう。谷崎と山本は年齢差が私と波野さんに似てるし。

隙間社さんの参考・弊社日記


 おおー、キャラ揃ってきたぞ。ついでに『SFオルタニア』のみんなで話してたこと使おう。電書の印税入金したときたまたま回転寿司行ったら、『入金即寿司』って隙間社さん言って。なぜかそのときツボったいい言葉なのでイラスト添えてマグカップグッズにしたっけ。よしこれも使うぞ。

 でも舞台は喫茶室だよな。寿司屋じゃないから『入金即寿司』はつかえない。

 そうだ、芥川谷崎山本で取材旅行で広島行ったことにしよう。『入金即旅行』だ。事実の裏とり面倒いけど、もう昔のことだから記録残んなかったことにしちゃおう。これを強く否定は出来まい。

 で、1919年に広島に取材旅行のついでで来て、物産陳列館の喫茶室で珠子フミ子のキャットファイトにまきこまれてビビる改造社ご一行さま、というフレームが出来た。

 これで行こう。

 でもなー、実際文学論争なんて書くの面倒いなー。難しいつじつまとかで私が頭悪いのバレるしなー。

 そこで気付く。

 それは描く必要ないんだった。

 ビンタシーンまでは省略したことにしよう。というかオープニングをフルスイングビンタでキメよう。

 それでどん引きした改造社ご一行さまで。そこまで和んでた雑談の空気が破れるがこれで確実に作れる!

 目処が立ってきた。

 それに文学論争してる人の裏話があったな。論争してるように見えてタダの痴話げんかだったとか。よし、これも使おう。

 林芙美子はあとで戦争取材とかしてるから、ちょいふてぶてしさが欲しいな。森光子が彼女の「放浪記」を舞台にしてたな。これはフックになる。

 じゃあ、冒頭は珠子がフルスイングでフミ子をビンタだな。

 でも、そのあとに重厚さ欲しいな。物産陳列館、華麗なアールヌーボー建築だから……華麗? 華麗なる一族!

 いいねー。あの重厚な雰囲気使いたいな。よし、研究してテイストに取り入れよう。

 でもビビるのは一回じゃつまらん。

 かぶせよう。フミ子ビンタされっぱなしじゃなになので反撃に珠子を3連スナップビンタだ。それも、改造社ご一行様が逃げ出すのをふさぐ感じで。

 おおー、これで軽くホラーになるぞ。コミカルでホラー。楽しいぞ。妄想がはかどる。

 そしてそのビンタ合戦にふさがれた状況を「オルタニア」、じゃなくて「改造」のメンバーが突破して脱出できるかもやってみよう。破5つめ。ドラ5だ!!ちょうどこの建物にエレベーターがある。一瞬喜んで、そのあと無情の点検中の札に落胆、で高低差もまた作れる。物語でも高低差は正義!!

 あとなんでビンタ合戦が始まったかを謎にして、結びにその解決を持ってくると推理になる。

 そして全体のフレームを序破急にすることも留意すれば破は6つ。いける!!

 ああ、とても妄想がはかどって仕方がありません!



 で、ふと我に返る。

 しまった! これ、事前にやってるから、そもそも即興制作、ジャムセッションにならんぞ!


 まあいいか。だめなら編集さんがダメって言うし、だめならにごたん参戦の要領で、出たとこ勝負で何もないとこから別のを全速力で書こう。だから、これは『材料』として持ち込んじゃえ。



 結局年表Excelシートと5000字の草稿を持ち込むことにしました。


 あと、前から作ろうと思ってたものを作る。

 私が妄想して模型で作ってる架空鉄道『北急電鉄』の制帽。

 学校用工作用紙で型紙を作り、それを手芸用品で置き換えて自作。


これが試作品。



これが完成品。

 これも当日持ち込むぞ。もはや私、なんのイベントかを誤解しているとしか。

 ああ、趣旨完全に見失ってるよ……。

前日(2月3日)



 あれー、今日発売で届くはずの一太郎2017こないなー。せっかく予約したのに。

 と思ったら1250時、やっときた。佐川さん今日の宅配ちょっとキツかったのかな。


早速インストール。DVD版なんだけどなんとかドライブのないノートPCにも入れてみる。

 いくつか原稿データを飲ませて機能をテストしてみる。おお、これはいいぞ。



テキスト保存時に一太郎でつけたルビをカクヨム・pixivのルビタグに変換してくれる機能。

これ、ばりばりにカスタマイズして

電子書籍作成に便利な『でんでんコンバータ』とか、


BCCKS(今回使う電子書籍サービス)にも

対応させられるようにできないかなあ。

今回の2017でははまだ難しい感じ。

BCCKS用にするには一旦pixivルビタグにして、それを手動で置換するしかないかな。

でも一太郎のルビ振り機能は強力なので、それが応用できるのはすでにすごく便利。

今後さらに対応広がるといいなあ。

ほんと、小説書きの強い味方にもっとなって欲しいソフトだから。





今回校正機能に実装されたこれ。




こういうミスをサクッとチェックしてハイライトとしてくれる。便利。


私の推敲不足もわかってしまう。推敲までは出来ないけど、校正のお陰でわかるのね。


こんなくだけた表現の言い換え候補提案なんかも強化。




こんなミスもみつけてくれる。(この写真だけ、データは波野さんの原稿をお借りしました)

よし、さっそく実戦投入だ。このまま明日持って行こう。

 発売翌日に早くも投入になる。その新兵器の不安はあるけど、でもいい。投入可能だぞこれ。

 ノートパソコンはちょい古くてでかいのでいこう。持ち運びに重いけど、作業時に肩が楽な方がいい。

 このゲーム、最後は体力勝負になるだろうから。



 そしてTwitterを見たら。

 ええっ、新城カズマ先生も参加すんの? それも作家側に!

 参考>新城カズマ - Wikipedia

 ヒドイっ、あまりにも大人げない! あんな大ベテランが! なんということでしょう!

 よし、独走優勝を絶対阻止したる!

 キャリアは向こうがずっと上だけど、胸をかりよう。

 いざ尋常に勝負だ!(勝手にこう思ったのね。ほんと私はいつも私の立場を一番分かってないよね…すまん)

1日目(2月4日)

そして当日。



 例によって早く着きすぎる鉄研時間。ほんとすみませんすみません。行きは体力温存を狙いロマンスカー使用。私のノベルジャム本番はもう夜明け前から始まっていました。


 戦いの出場通知を握りしめ、切符のにじんだ文字東京行、ってかっこつけたいんだけど、ロマンスカーのチケットレス使ってるのでにじむ文字ないのね……しかも新宿行きだし。ううむ。


 会場で知らされる。

 ええっ、チームを組む編集者が電子雑誌・群雛でであった波野さん? ええっ、さらにペア作家は同じく群雛で知ってたギター小説の澤さん?




スポンサーがついてる。すごいっ!


 なんか昔の群雛コネクションで隔離されちゃったような。

 でもいい! ならば、このHテーブルの群雛チーム?でワンツーフィニッシュしたれ! イキオイ大事! 望みは高く!!


まずデスクのセットアップ。持ち込みノートPCにiPad、iPhoneを配置。

全部が運営側提供のWi-Fiにつながってるので、調べ物などに同時に使える。

また、マルチモニタにもなるんだよね。


そして、初陣の新兵器、一太郎2017。

ノベルジャムは、まさにこの書き手にとっての新兵器の実験場と化すのです。



机をつい散らかしてしまうワタクシ。

そしてオープニングのあと、まず著者側は藤井太洋さんの講演を、編集者は別室で三木一馬さんの講演を聴くことに。



 というわけで、よし、藤井さんの講演をTsudaって講演録を私的に作って、いつもお世話になってるオルタニア編集メンバーのみんなへのお土産にしよう。キータイピングのウォーミングアップにもなるし。ノートパソコンセットアップしてあったので速記。

 しかし。

 でも、えっ! このノベルジャムでの制作作品の長さ推奨3000字? しかもやっぱり即興執筆!? えええっ!!

 すでに5000字の草稿書いてきちゃってるよ私! しかもエンドマークまで書き切ってる。

 全然即興じゃない。趣旨やっぱり理解してなかった!



 私、いきなり天和状態だけどチョンボじゃん!

 これじゃ遠野みづきになれないよ!(もはやよくわからん錯乱状態になってる)




 というわけで軽く途方に暮れながら、昼食。まい泉のお弁当。


 しかし、少しいいニュース?も。

 参加者から「上限字数はありますか」の質問が。藤井太洋さん「ありません! 長くても読みます」の力強い返事。

 うん、これで言質は取った(ヒドイッ)。物量作戦も取れるぜ! 長く早く書くのはぜんぜん苦じゃないから。

 活路はここかも知れぬ……。

開始


 とはいえやっぱり途方に暮れる。

 三木さんの講演を終えて戻ってきた波野さんに。

 波野さーん、ごめーん、ぼく、困ってきたよー。

「え、作品書いてきちゃったの? じゃ、読んで判断します」

 波野さん、読み終わって。

「じゃ、別室で打ち合わせましょう」

 なるほどね、この会場の別室はこう使うのか。エスポワール号(『カイジ』)とは違うのね(あたりまえです!)

 予約制で全チームが使える別室会議室。これはその予約表。

別室会議室にて


 会議室で波野さん、まず始めに。

「まず、基本的にこれで行きましょう」

 使うのか……。

「でも、ラスト、これ、蛇足だよね。現代までだらだらのラストはダサい。凡庸で蛇足だし」

 えええー。じゃあ、どこら辺まで切る?

「これ、語り手のいる時間を大正のままで終わらせちゃいましょう。そのあと昭和20年に何があったかがあまりにも有名で自明だもん。それ切っちゃった方がむしろシブイ」

 なるほど! たしかにそうだ!

「あと、冒頭のテンポ悪くない? 細部をこう直してみたら?」

 サクサクと赤を入れる波野さん。

 おお、確かにこの直しはいい! ほんとにいいリズムが出てきた!

「あと、山本と谷崎と芥川の台詞が今っぽ過ぎるよね」

 はい、そりゃ中身が波野さんと私と隙間社さんだもんね……。このとき言わなかったけど。ヒドイっ。

「ちょい硬くしましょう。すこし時代っぽく調整を。そうしたら雰囲気が大正8年で揃うから」

 たしかに。なるほど。

「ただ、これ、話が要するにどういう話か、端的に言うの、難しくない? いったいなんの話だろう?」

 うっ、実際文士三人が女学生ビンタ合戦にビビりまくる話……でもたしかにこれでは小説作品としての大義名分がないっ!

「でも、それに絞って削るより、逆にさらに盛りましょう。むしろ激盛りで。読みにくくなるけど、それは脚注に分離すれば解決できるから。『ユリシーズ』みたいに時代を描く感じに突っ走りましょう」

 たしかにEPUBだからリンク作れば脚注作れる。これだと下調べも無駄にならない。

 なるほどなー。でも、これ、途中のプロットとかないよ? だってもう原稿につくって来ちゃったもん。チェックポイントタイムの提出義務あるよね?

「それはこの完成品から要約してつくってチェックポイント提出対策にしましょう。できしだい事務局に僕が提出するので」

 ありがとう! 助かります!

「あと、表紙はこの物産陳列館のイラスト、もうイラストチームに発注します。原爆ドームとすぐにバレない感じに。なにか資料あります?」

 ググっていろいろ目星付けてあるよー。

「じゃ、それ参考に描いて貰いましょう」

 すごい流れるような仕切り! ガルパンの西住隊長か! ってほどの的確さ。さすがだなあ。

 よし、この方向でブラッシュアップやっちゃおう。これはいける! がっつり信頼関係成立!

「締めはやり直した方がいいので、それも考えてね」

 おっけー。要領わかった。

 行くぞ! 両舷全速! 原稿打ち用意! 目標、前方をゆく新城カズマ!



作業


 ようし! 描写を盛るところは私の日産最大68000字の力で盛ったる!
 もう特盛りじゃ足りない、激盛りだっ! ネタはあるのでGoogleのサーバが火を噴くまで、ググって、ググって、裏撮りして、裏取りして、盛り込む! 盛り込む! 盛り込むッ! 泣くまで盛り込むッ! 大人気ない新城カズマの独走を絶対許さないぞ!(新城先生、こんな失礼でほんとすんません……)

 ところが、波野さんは私のことすごく理解してくれてるし、買ってくれてる。いつも私のことを他の人に紹介するときにものすごくド熱く語ってくれる。ほんとありがたい。良き理解者です。

 そのひとと一緒に本が書ける。こんな幸せがあるだろうか。


 身体が軽い……こんな気持ちで書いてるの、はじめて!

 もう、私、一人じゃない!


 まさにこんな感じ。

 もう私の頭の中ではまどか☆マギカのマミさんのテーマ「Credens justitiam」がヘビロテしはじめてる。

 もう、この作業、幸せで泣きそう……。

 でもそのままだと最後マミられちゃうので注意だぞ☆。(ヒドイっ)



 ちょっと疲れてきたところ、波野さんに、イラストチームに発注した表紙イラストの仕上がりを見せられる。ほんとこれ、編集さんが疲れた著者をブーストする定番の技だよね。これでさらに戦えるのが著者というもの。
 本日ヒトロクマルマル、表紙軍団より増援の表紙来着。ますます我が隊の意気盛んなり。ノベルジャム作戦の成功を確信ス。

 イラストチーム、さすがプロの仕事。素晴らしく綺麗な廣島物産陳列館の在りし日の姿。川面にもちゃんと反射して美しい。もっとざっくりしたモノになるかなと思ったら、ばっちりアールデコの有機的な繊細さも出てる。さすがの理解力。すごいっ!
 そしてこれを表紙にデザインするのは波野さん。二人で「トリミングするのもったいないほどイイネー」と声を揃えてしまう。Hチームの隣がイラストチームの席なので、お礼を。

 描いてくれた方は有田満弘さん。


 ポケモンカードゲームとかカルドセプトとかファイナルファンタジーXIのイラストやった方。す、すごいっ!


 そんなうちに。


 えっ、もう夕食?

 原稿打ちに夢中になっていたとはいえ、時間の流れかたがおかしい!

 それに私がやってるエンディングのやり直し、私的にイマイチ。うむむ、上手く決まらない。

 よし、天使が降りてくるまで、他の描写の盛れるところを盛って盛って盛りまくるぞ。

「原稿が進まないときは別の原稿を進めちゃえば良いのよ。(byマリー・ヨネとわねっと)」

 あと波野さんの指摘の考え方を私なりに理解したので、それに基づく修正も自主的にやる。

 そしていろいろと波野さんとも随時相談。さらにシンクロ率が上がっていく。

「これ、こうじゃない?」「そうそう! それそれ!」

 密度高い編集さんとの共同作業はホント楽しい。こんなのはじめてだよなあ。

 実は藤井さんの今回の講演で、地の文に現在形を使う英米語圏小説のトレンドの話があったので、さっそくそれにチャレンジする。できるだけ現在形にして臨場感を高める作戦も実施。

 もうコアの変換が要らない感じに!(←ダメえばんげりおん脳)

 そこに。

「作品の最終タイトル、これでどう?」

 おおっ、わかりやすいしわかりにくい、じつに絶妙なダブル意味にんぐ!(神楽坂らせんさん風味)

 参考>Amazon.co.jp: 神楽坂らせん:作品一覧、著者略歴

 うまいっ! このタイトル付け苦手なんで助かる!

 ついたタイトルは「スパアン」。

 スパイラル・アンノウン。知られざる螺旋階段。物産陳列館の現存しない螺旋階段のこと。

 そして、すぱあんはビンタの音でもあるのね。

 スパーン。フルスイングでスパーン、スナップきかせてスパアン、スパアン、スパアン。

 スタッカート効かせてスパッ、スパッ、スパッ! こええええええ。



夕食のお弁当。

 しかし。

 うわあ、時間がないっ!

 もう1日目終了?! 早っ! 早すぎる!!

 仕込んできてても、これ、ほんと時間的にキツいぞ! 余裕などナッシング。

 そのなかの波野さんの奮闘は素晴らしかった。

 描くのに行き詰まっても澤さんギター弾いたら波野さんにまで『創作の天使』がすぐ降りてくるからいいよなあ。うらやましい。

 あと、澤さんの原稿を読む波野さんが、深夜になって何故かやたらキョドウフシンだ。ほんと何故?





 それと、この日の私のキーボード入力文字数は、ATOK2017の計測で49731字でした(写真はそのちょっと前に撮った)。

 うん、まあ、いつも通りの私の生き急ぎ方である。



1日目作業終了(2200時)


 そして1日目、会場作業終了。

 しかし!!

「あ、米田さんの今夜泊まる宿、見つけてオレもとりました。夜も少し作業しましょう」

 すげえ。夜の陣突入だ! ワレ、夜戦に突入ス!(いや、そういう意味でない=どういう意味だ)

『夜を制するものがノベルジャムを制す!』

 たぶん徹夜してもダメ、寝過ぎてもダメ!

 ううっ、なんという戦略性の必要なゲームなのかっ!

 というかこれ、そういうエクストリーム系のスポーツだったのかよっ!

 小説書くことがこんなスポーツだったとは!


 で、案の定、眠れない。

 だってこんな宿だもん。



 寝台列車風味。廃車になった寝台列車『北斗星』の部品を使い、寝台列車風味の内装。

 ドミトリーで安いし、テツ心をバッチリくすぐる。

 部屋のにおいまで往年の寝台列車そのもの。ああ、懐かしいなあ。

 喜んでる私と反対側の下段ベッドで、波野さん、ガガガッと渾身の校正作業。




 というか、私、テツ心くすぐられすぎてしまった。

 ノベルジャムが楽しい上に宿まで楽しくてあわわわわ。これは実は失敗だったかな。

 ああ、やっぱりダメだ、眠れない。

 もう観念して徹夜でもいいからロビーにいって、ノートPCで作業しよう。



 でもこの宿、楽しいなあ。

 波野さんが寝る前に校正してくれたのを、寝台列車『北斗星』食堂車『グランシャリオ』風味のロビーで入力。ちょっとしんどいけど、ちょっと優雅で楽しい。この椅子、列車が走ってた頃からの本物だよ。すごい。


何気ない扉も、もと北斗星のもの。素敵だ。

 ちなみにTwitterなど見ると他にも徹夜組がいた模様。やはり『夜を制するものがノベルジャムを制す』?


やっぱり小説書くのって、楽しいなあ。

もう、書くのやめるなんて、いわない。


 ちなみに、ビンタの表現も擬音を減らしたり。擬音使わなくても読者に聞こえるようにするほうが文学的に鮮やかでカッコいいね、って。なるほどなー。波野さんよく考えてるなあ。

 というわけで納得しながら修正していく。さすが編集歴25年。すげえええ。前からさすがだなーと思ってたけど、あらためてホントだった。



2日目(2月5日)


 2日目。最終日であり、本の発行まで完了する日。

 波野さんと会場に向かう地下鉄の中で新城先生の提出プロットを偵察。

 こういうのは事務局から公開されてるからね。



 うっ、これは…正直、結構アバウトじゃね?

 これでちゃんと最後まできっちりいけるのかな? と先行き不安なプロット。


 ……もしかすると、これ、我々が出し抜けるかも!




 波野さんとアイコンタクト。


 よし、やれるだけやったる。ここからさらに勝負の全開運転だ!





作品に関係する提出物提出のチェックポイントタイムも次々とクリアしていく。事務関係をキビキビこなしてくれる波野さん。澤さんとともに私も執筆に没頭できました。

 提出物、プロットとかは外部にも公開されてるそうです。


 そして、完成に近づきました。

 盛ったぜ……大正8年のディテールを。

 エンディングも削れるだけ削ってシャープに。

 出てくる珠子と芙美子のラストのシーン、ちょっと前の朝ドラの女学生風味も入れられたし、舞台にテツな描写も入ったし、途中に戦艦の話も入った。その導入時の汚職の話も含めて入れた。

 まさに満艦飾。私の全部を突っ込んだ。というかこの話に艦これへの言及まで入れて。正直盛りすぎじゃね? 「やり過ぎ、デース!!」(戦艦金剛の話が入ってるので金剛さん登場)

 原稿の字数は最終的に13000字を超えた(脚注含む)。

 3000字想定に13000字ぶっ込むとか、ヒドイッ! だれだそんなやつ。私だー!(自爆)



プリンタが使えるので、波野さんに赤を入れてもらっていた。

これはかなりあとのほうなので赤が少ない。でも初めは真っ赤っか。

波野さんの渾身の直しに、私も心震えました。




「でも」

 え、なに?

「下手すると審査員に芥川・谷崎・山本にめっちゃ詳しい人がいるかも知れないんだよね。実際オレ、実際谷崎研究マニアの人、知り合いにいるし」

 ひいいい! たしかに業界狭いもんねえ。文士ネタってのはそういう危険があるよね。たしかに。

 いや、できるだけ調べて、推測でそう外れないように書いたけど、ぜんぜん違うって言われたら確かにヤバい!

「まあ、それは大丈夫でしょう。審査の米光さんは広島の大学出身なので、なじみの場所の雰囲気がそこから審査員全体にも響くと思う」

 それはいい情報!

「ただ、提出用テキストデータの脚注の並べ替えとかの事務作業、間に合う?」

 よし、その作業、一太郎でやったる! そういうために一太郎がある!

「あと表記揺れ訂正とかは」

 それは一太郎2016でもできた。今回は新兵器一太郎2017の威力、真骨頂発揮だ!! 

 一太郎なら人力で調べるより、圧倒的に早く効率的!!

 一太郎用意、目標・原稿内の表記揺れ。

 テーッ! バーズアウェイ!! マークインターセプト!


 実はこのとき、すでにiPhoneアプリの逆算タイマーで残り時間見ながら頑張ってた。こうやると焦るより燃えてガンガンいけるのね、私。(ド変態)

提出


「終わった……」

 12時00分の審査用原稿締め切り前、全チームのなかで最初に最終原稿を提出!!



締め切り前、22分残し! やった!!




 そのあと昼食。ただ、まだ、作業はおわらない。ぶっ続けなので食事はまさに戦闘糧食状態。

 引き続きBCCKSでEPUB作成。慣れてるはずだけど波野さんはもっと慣れてるので勉強になる。まさかあんな使い方があるとは。良い勉強になりました。

 ザクザク終わらせて、澤さんのEPUB作成支援に。


 表紙も入りました。波野さんのデザインの表紙。波野さんは腰巻きを電子書籍にもつける派。私もそうしたほうがなんか好きだったりするので、すごく気に入ってる。

 いいねー!!

 で、EPUB完成したけど、提出前チェックの順番が来ない……。


 しかし、最後にチェック、キター!




 チェックは通るんだけど、提案もうける。おお、さすが、さらによくなる。どんどん完成度が上がる。上には上がいるもんなんだなあ。ほんと奥が深い。




 そして、本が、完成した。これがこの日、最後に完成した、本と、なった。(NHK「プロフェッショナル」風味)

 作品紹介文も波野さん作成。うう、ド熱い!! すごくいい!! 波野さんまさに獅子奮迅!!

プレゼン

そしてプレゼン。各チームの編集さんが前に出てできた作品のプレゼンをやる。

 これも波野さんばっちり。他の編集さんのプレゼン能力の高さも驚いたけど(できない感じの編集さん昔多かったもんね)、波野さんは2名分バッチリなわかりやすい演出のキーノート作ってくれた。

 あのメチャメチャ忙しい中でよく作ったなあ。まさに大奮戦した。私も自作した我が北急電鉄の帽子かぶってちょいと小芝居。

 でもすごかったのは澤さん。ギター最強でした。最高のプレゼン。みんな疲れてきてるところにギターの調べが実に鮮やかに響く。波野さんほぼ無言でスライド流す。そのスライドのタイミングも絶品。まさにセッション。

 高橋文樹さんの素晴らしいトークプレゼンと波野さんプレゼンが頭一つ抜けてた。まさに場数よのう……。




 でもなー。正直、EPUB作成してるとき、いくつもミス見つけたんだよなー。EPUBのは修正していったけど、審査用はすでに提出して審査されてる。これ、軽微とはいえ減点かなー。

 来た以上、、なにかもぎ取って帰ろう、新城カズマの独走絶対阻止! と思っちゃたけど、結局無理だよなー。

 やっぱり参加出来ただけで良かったと思うかー。まあ、すごく楽しかったし。小説書くことが楽しいってことを再認識させてもらえたし。

 このときにはかわせひろしさん(電子SF雑誌『ガンズ&ユニバース』編集長)も応援に表彰式前に来訪。このイベントの感想を話したり。

(ガンズ&ユニバースのHP)


かってに応援団(かわせひろしさんのブログ)

 そして、あとは表彰式だらだらだけど見て、健闘をたたえたあと、宿に帰ろう、と思う。

 もう一泊取ったあの寝台列車風味の宿楽しみだけど、ハードな日程でキツかった…。ヘトヘト。

 あと、スポンサーのJustSystems(一太郎のメーカー)の方も徳島から来訪。実戦投入した一太郎2017の活躍の感謝を申し上げました。なければ作品の制作が終わらなかったと思う。

 徳島の言葉が素敵な方でした。私、MS-DOS時代からのJustSystemsファンですから。良い地域企業だもんねえ。まさに日本の底力。



表彰式


 じゃ、あとは表彰式でおわりだー。へとへとだー。でも、みんなよくがんばったよなあ。



おおー、はじまったー!!

 そのとき。

 え?

 私の本が!

 いきなり呼ばれる。えええっ!




 米光一成賞! うわっ、受賞しちゃった!

 小説で賞貰ったの、生まれてはじめて!

 不意を突かれた表彰で嬉しさもあり、もう頭真っ白。


「ぷよぷよ」とか「魔導物語」の生みの親。すごいヒトだ……。

このヒトから表彰されるなんて。まさに栄誉。

 米光さんの講評、褒めていただいたんだけど、こんなに褒められたこと、これまでの人生に全くないぐらいだったので、ほんと、キオクが切れ切れに。

 米光さんにすまない……。でもものすごく嬉しい!

 マイク向けられて「受賞者の言葉を」なんてあったけど、もう何もさっぱり思いつかない。

 ひいいい。泣きそう。

 かろうじて『ありがとう』ばっかり言ってた気がするけど。感無量。




 で、さらに同じチームの澤さんが優秀賞受賞! すごい! 賞品は一太郎2017! 波野さんにも!

 Hチーム2名とも受賞!! まさに快挙!!

 ちなみに、澤さんの小説はなんと『飯テロ小説』でした。美味しそうな食べ物描写の小説。それがあの深夜に読むには破壊力絶大の飯テロぶり。

 そりゃ波野さんもキョドウフシンになるはずだよ。あれをノープランから即興で作り上げた二人はほんとすごい。まさにこのイベントの趣旨にぴったり。




 というわけで、Hチームは一気に全員一太郎2017ユーザーになりました。




 そして、最後に新城カズマ、堂々の最優秀賞……ぐぬぬ、私の阻止作戦、大失敗。(ヒドイッ)



 その作品を見てみると恐るべき最終稿への最後のヨセの手腕でした。さすがベテラン、格の違い、場数の違いを見せつけられました。

 とくにゴルフで言うパターイズマネー、でした。ほんと、ああいうところで絶対ミスらないなあ。さすが。つよい。

 あのプロットからあの時間でここまでやるのか……。ぐぬぬ。追いつけない! なんと手強い!




 そして、集合写真を撮って、このイベントは閉会となりました。



その後


 しかし、続いて場所を変えて懇親会になります。

 そこで審査委員長の藤井太洋さんが私を見つけてやってきて。

「あそこ足せばいけたよね」

 一瞬理解できなかったけど、すぐあとに。

 ああああ、あそこって、あそこだー!!!

 私、気付いた。

 そう。波野さんの私の作品への「これ、なんの話かわかんないよね」に対し、私が補強する意味で後付けでつけた一つのテーマ。

 これがなんと、米光さんだけでなく審査の方々に私が思った以上にヒットしてたらしい。

 薄々書いてて気付いてたけど、これ、もっと明確に意識して、ユリシーズ構造のまま、さらに構築強化すれば良かった!!

 藤井さんに、バレてたー!!

「他の所見てて、それを書ける感性もってるのわかったから、あともう少しだったんだよね」

 うわああああ!!




 そしてさらに藤井さん、全体への講評で。

「だれもポリティカルもの書かなかったよね。これが残念だった。まあ、書くの難しい時代だけれども、これは現代文学の課題だよね」

 うわああ、しまったー!!

 私、ポリティカル大好きっ子だったのに! しかも今回のでもポリティカルな記述やってて楽しかった! 戦艦金剛建造時の汚職の記述とか。だってそれ私の好きなとこのひとつだもん。

 ただ、今回はそれ書いたのは本文ではなく脚注部分……。

 でもたしかにネライメではブルーオーシャンだったよなー! くっそー!!




 さらに。新城カズマ先生に聞く。

「昨日の夜どう過ごしたかって? ああ、家でよく寝たよ」

 うわああ、最強の夜の過ごし方だ!! 自宅だと作業も睡眠もバッチリ!

 やっぱり完全に夜を制してたよ!! 地の利と冷静さでがっちり。

 ヤラレタ!! まさに『勝ちに偶然の勝ちなし』でした。まさに勝つべくして勝った新城先生でした。


 さすが。すばらしい。そしてぐぬぬ。


 うう、すごく勉強になりました。

結び


 というわけで、受賞できたのはうれしいけど、もっと上を目指したいと思いました。だって上があるんだもん。

 ただ、これがいい意味でも悪い意味でも、今の私の実力なんだよなあ。ほんと。

 でも、波野さんに随分助けられたし。ほんと、感謝。




 小説書いててもうすぐ満20年。それで初めての賞の受賞でした。泣きそうなほどすごく嬉しい。

 これまでずっと無冠だったもんね。

 まず、これからも鍛錬あるのみ。励みにもなりました。




 あと、このイベント、なかなか壮絶でした。たった二日で電子書籍発行未経験者が執筆から発行販売まで一気通貫にやってしまうというのはほんと、密度高くてよい。仕事だったらデスマで会社がやらせたら真っ黒くろすけのブラック職場だけど、これ、まさに知のスポーツだもんね。

 審査もすばらしかった。あの短時間にあの枚数をしっかり審査。すごくフェアだったし目配りもじつにゆきとどき、一人一人の参加者への愛、物語への愛に満ちていた。ジャッジはゲームの背骨。良いゲームになってすがすがしい。私も賞がもらえなかったとしても十分満足できると思う。

 懇親会で健闘をたたえ合ったけど、できればもうちょっと時間に余裕が欲しいかな。他の人の様子を見る時間が少ない感じも。ただ、作業中は無理だし、休憩中はほんと休憩するしかないほど疲れてたから無理とも思うけど。

 でも、『にごたん』みたいな感想戦の場が欲しいとも。まあ、これはあとで参加者が自主的にやれば良いかな。



 そして、旅が終わりました。

 さて、私、次回リベンジできるかなあ……(調子乗って欲が出過ぎです)。

 で、栄誉に浴した今回の作品です。ぜひごらんになってください。





 で、1冊著書が増えました。今年はあと30冊出さなきゃ。



この時点の刊行冊数(2016年12月5日の企画開始から63日目)


BCCKS(共著含む)48種類(+5)+1
AmazonKDP 10種類(+3)
KOBO・パブ- 45種類(+0)


合計 103種類(+9)


目標冊数 36冊
発行済み冊数 5/36冊(残31)



ゴールの2017年12月25日まで、322日。

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